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写経のじかん。

 2020年6月。

 コロナウイルスの関係で延びに延びていた

末っ子ミッチの幼稚園生活がついにスタートして、私自身も少しづつ【じぶんの時間】をもち始めた。

 

美術館や展覧会に行ったり、子供とは観られないテーマの映画を観たり。

子供がいないランチって、どんな感じだったっけ、とか。

見よう見まねでSUPをして、インドネシア語を学び直して。

 

手当たり次第のようにも思えるけれど、それはなんとなく海外生活を終えて

日本に帰ってきたときの感覚に似ていて。

 

思い浮かんだものを続ける決意があるかとか、やりたい理由とかも関係なく

あまり深く追求しないままとにかく試してみる。

 

 
そのできごとや体験に戸惑ったり喜んだり怒りを感じる自分を、純粋に味わう。
そんな時間を、ずいぶん長い間もっていなかったような気がして。

 

そんな折。

 「お寺で写経ができるんだって」

人づてに教えてもらって、友人たちにそれを伝えた。

 よくわからないけど楽しそう、と話に乗ってくれた2人と写経体験をすることになった。

 

沼津駅から車で西に約20分行った所にある光厳寺に伺うのは、今回が初めて。

檀家でもない限り、なかなかお寺にいく機会はない。

鳥谷の住宅街に突然現れる緑深いエリア。

駐車場に車を停めて山門をくぐると、境内の池では鯉やメダカが泳ぎ、

季節の草花が咲き誇っていた。季節は夏の終わり。

異世界にきたワクワク感で、自然と気持ちが高まる。

いや、気持ちを沈めに来たんだったかな。

早速本堂に通していただく。

本尊は延命地蔵菩薩、そして不動明王、弘法大師が祀られているそう。

第33代のご住職が迎えてくれた。そもそも写経っていうのはー、と丁寧に説明をしていただく。今回は初めてということで短めバージョンを体験することに。

机の上には、硯と細筆と写経用の半紙が用意されていた。

お手本の上に半紙を載せて、その上をなぞる様に書いていくそう。

4行目からは同じ文言が続く。

 正座か椅子を選ぶように促されたので、友人ふたりは畳の上に正座、わたしはテーブル席でやってみることに。

席に着くと、凛とした静寂の時間が訪れる。

まずは御住職が塗香(ずこう)というお清めの粉香をそれぞれの手に分けてくれた。

軽く手を擦り顔の近くに持っていくと、芳しくて奥深い香りがふぁーっと広がる。背筋を伸ばして呼吸を整えると、御住職の声に導かれてゆっくりと瞑想の状態に入っていく。

 

 そっと目を開け筆を取り、自分のペースで一文字、一文字。

うまくなくていいのです

はやくなくていいのです

御住職の言葉に後押しされ、とてもゆるやかな気持ちが続く。

 

携帯電話の音もしない、

時間の感覚すらも薄まった世界に沈んで、

目の前の紙と筆にのみ集中する。

そのなんとも言えない心地のよさのまま

最後まで書き終えた。

 

 友人のMちゃん。

書き上げてとても清々しい顔をしていらっしゃる。

最後に自分の願いを書くスペースが数文字分あいていたのだけれど、Mちゃんはきれいに枠の中に書いていた。

わたしはと言えば、いつも心にある願いを深く考えもしないでスラスラ書きだしたら、当然のように与えられた枠をはみ出して、住所欄や名前欄にも進入した。
 
家内安全 健康祈願
 
そう書けばすんなりおさまったのに。
こういうズレたところが自分にはあるよなと妙に納得したりして。
 

 友人のYちゃん。

書き上げたものをお焼香して納めているうしろ姿と、そばでほほえむ御住職。

写経の間じゅう、終始こういう距離感で見守ってくださった。

ちなみに。

こちらで写経したものは、後日和歌山県にある高野山真言宗の総本山金剛峯寺に納めてくださるそう。

この写経体験は、どなたでもできるみたいなので

ご興味のある方はお問い合わせしてみてね。


わたし自身

次はどんな時間に身を置くのかな。

その先で出会えるであろう感情に

わくわくしている。


#沼津ひととき百貨店


 

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高野山真言宗 光厳寺

住所 静岡県沼津市鳥谷497

沼津駅から車で約20分(駐車場あり)

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