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町のきおく、放課後のきおく

 その昔、学芸大学や豪徳寺に住んでいた頃は、時間を見つけてはよく銭湯に行っていた。スーパー銭湯みたいのは好きじゃないのだけれど、何年も変わらないスタイルの銭湯はすきだ。

今、沼津には銭湯が一軒もない。沼津最後の銭湯だった吉田温泉も、惜しまれながら数年前に休業してしまった。

 いくら銭湯が好きと言っても、生まれ育った地元で行くっていうのはこれまた違ったハードルがあって。真っ裸で知り合いに会っちゃうのも嫌だし、「どこ中?」からの「何年生まれ?」って探りからの「⚪︎⚪︎さん知ってる?」みたいな微妙な落とし所探しの世間話も意味がわからないから(まあそれだけが理由ではないけれど)、結局閉店するまで一度も吉田温泉のお風呂に入ることはなかった。

 

話がそれたけれど、その吉田温泉で個展が開催されていると知り、先日アニとミッチと行ってきた。(風呂場で走って、いかにもツルン!といきそうなチロは留守番。ごめん。)

画家の北見美佳さんの作品は、どれも吸い込まれるように透明感があってすばらしかった。水辺の鹿や満開の桜、海の風景やすずめ。銭湯の1階と2階を自由に歩き回りながら、写真も撮っていいということだったので、アニも私も思いのままに撮らせてもらった。

湯船のタイル、霞んだ鏡、人がひとりやっと入れる番台、階段の木目、二階の畳、古い蛇口、天井、

北見さんの作品だけでなく、建物の中のどの角度を見ても絵になった。かつては、ここに人が沢山集っていた。その場所がもつ記憶の残像のようなものを感じる独特の雰囲気だった。

ちょうどその日は、アニの造形教室の日だったので先生にその話をしたら、「いいね、そこ!」といって後日見に行ってくれた。そしてご縁がつながって、こんど教室の展覧会がこちらで開かれることになった。

子供達の作品がこの場所でどんな風に見えるのか。

今から楽しみ。

 

 

 沼津の風景といえばもうひとつ。

先日アメリカから友人夫婦が沼津にきていた。沼津に住むことも近い将来の視野に入れたいということだったので、3時間弱の沼津ツアーに案内した。

大黒屋(駄菓子)→千本浜(チリングだけ)→井草呉服店(お土産用こども浴衣X2購入)→NUMAZU DESIGN CENTER(大木真実ちゃんや矢田さんのお話しを聞いて眼から鱗、いやほんとに。)→EL PASITO(エル・パシート)見学→どんぐりで喫茶→帰宅

かなり私好みの偏ったルートだけれど、楽しんでもらえたよう。行く所行く所で、若い2人の質問に丁寧に答えてくれる大人達が、ほんとうにあたたかかった。

沼津、ナイス!

 

 そして最近の私はといえば、6月から沼津市役所生涯学習課主催の「沼津ふれあい英語事業」の講師をさせてもらっている。対象年齢が012歳ということで、毎回とってもワクワクしながら現場入りして、小さいみなさんのエネルギーをもらって帰ってくる。週に何度か、11時から45分間という短時間ではあるけれど、本当に嬉しい時間。

 

 ミッチが来年から幼稚園に入るこのタイミングで、こんな機会をもらえてありがたいとつくづく思う。来年の4月を境に、わたし個人としては約8年ぶりに昼間子供が一緒にいないという毎日が戻ってくる。

 少し前から始めたロングウォーキングとか、大きな声では言えないけれど(言っちゃうけど)刑事裁判の傍聴とか、今までいけなかった美術展とかにも行きたいし、英語の長めの本もじっくり読みたい。毎日でなくても、そんな風に過ごせる日もあるのかなと期待している。

その反面、何かの形で働いていたい!と思っているのも正直なところ。とはいえ子供達が帰ってくる頃には家にいたい。1日が終わっていく時間はゆっくりと家族で過ごしたい。だから週何回かの午前中の英語レッスンとかライター仕事とかは、今の私にはぴったり。

 大きくなった子供たちが振り返った時、幼稚園や小学校から帰ってきてから眠る前までの時間の記憶が、満たされているといいなと思う。昨今「専業主婦」の位置付けが低いように感じるけれど、子供にとっては「母親が家にいる」っていうただそれだけのことが、心強かったりやる気になったりすることは多いとおもう。これはワーママ批判でもなんでもない。ただ専業主婦は専業主婦である自分をもっと肯定していいとおもうということ。

ただそれだけ。

 

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