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シロウト母さん空手のことを書く。

 今日は空手シロウトの母さん的「子供に空手を習わせるってどゆこと?」っていう考察です。

 4年生の長男アニは幼稚園の年中のときに空手を習い始めたので、歴でいうとかれこれ5年以上になります。5年も同じスポーツをやっていれば、そりゃそこそこ上達して然るべき…なんですが。

 彼はとにかくのんびりマイペースな人で、同じ時期に始めた子たちがどんどん型を習得し昇段試験を受けていわゆる「格上」になっていく中、特に焦るわけでもがっかりするわけでもなく、でも一度も、本当に一度も「やめたい」とは言わずに今日まで続けてきました。(後々それは、彼の「特性」が関係していたとわかるのですが。)

 空手経験者の夫とは違い、知識ゼロからスタートした私。5年経った今でも、「空手」というスポーツの全容はまだまだ見えていないと感じています。そんな私にも経年の中でいくつもの変化がありました。

  ひとつ目は、シンプルに言うと【フルコンタクト空手の試合観戦にハマったっぽい♡】のです。自分の子の試合じゃなくても、許されるなら何時間でも観ていたい。高校生や成人の試合は、あたりも強くて痛そうで展開も緊迫しているので、気づくと息を止めて見ていることもあります。なので試合があった日は、家族の中で私が一番クタクタになります。

 ふたつ目は、「我が子の成長」だけが私たち親の関心ごとではなくなっていったということです。5年も通っていれば、同じ道場のなかに、我が子のように応援したり、勝ってほしいと願う子が何人もできます。もちろん我が子が勝ったら嬉しいですよ。そりゃね。それでも、どの子が勝っても負けても、一緒になって本気で喜び、がっかりしたりします。

 体格差のある相手に打ち込まれて泣いている子がいれば、もらい泣きをする子や父兄もいます。師範や仲間や先輩たちが、頭をポンポンしてくれます。「また練習がんばろ」と声をかける子もいます。子たち親たちがひとつのコミュニティを形成しているような感覚に近いかもしれません。

みっつ目は、「子供の習い事」に対する捉え方の変化です。兄弟が空手を始める前は、先輩パパやママが、習い事の送迎に忙しくしているって言ういわゆる「あるある話」を、どこか冷めた気持ちで聞いていました。

そんなに入れ込んでも、そのスポーツを職業にするわけじゃないでしょ?もっと気楽に週2くらいで体力作りができたらいいんじゃないの?なんでそんなに必死になるの?自分の夢を投影してる系?

 ってな感じで。はい。スカしていました。失礼ながら。

 それが今では、アニは週4日、チロは週2日練習に行っています。基本的に昼間の練習(土曜日)の送迎は私が、暗くなってからの練習は父さんが担当しています。これが多いか少ないかはわかりません。兄弟それぞれが自分たちでペースを決めて、親はできる限りサポートをしているという感じです。アニが参加させてもらっている強化クラスの日は21時まで練習があるので、帰ってきて軽く何かを食べてお風呂に入ったりしていたら、寝るのは22時すぎ。それでもアニは満たされた顔をして「きつかったー!」と笑います。

 ちなみに。週1回でも4、5回でもお月謝は一律5,000円。いわゆる「頑張る子ほどお得なシステム」なのです。他の道場のことはわかりませんが、英語とかピアノとかの習い事とは真逆の料金設定ですよね。

 さらによっつ目。(まだあったか!)これで最後です。これは誤解が解けたって話です。

 空手を始める前。マイペースなアニにはチームスポーツより個人スポーツの方が向いているんじゃないかなと思っていたので、空手を習いたいと言い出した時「いいじゃん格闘技。個人スポーツ!」と即賛成しました。その点でそもそも素人かあさん、わかってなかったです。今だから言えること。それは、

空手、まじチームスポーツだかんね!!」 であります。

 子供たちの指導は、全面的に師範と先生、先輩たちがしてくれます。挨拶の仕方から作法、黙想、型、攻め、守り。ストレッチ→走り込み→基本稽古→移動稽古→型→スパーリング。何度も何度も繰り返し教えてくれて、交代でミットを持って攻守の動きを確認して。そう、一人では何ひとつできません。自主練や自己鍛錬はもちろん必要ですが、学ぶことの全ては「人」から教わります。

 試合になれば、先輩や仲間がセコンドに入り、全力で応援をして、勝っても負けてもどこが良くてどこを直したらいいのかを教えてくれるのです。

 そうして級が上がると、今度は自分が下の子の面倒を見る場面が増えてきます。自分がしてもらったことを下の子に教える。教えることで自分も学び直す。粘り強く、忍耐強く。こうして年相応の話し方やわかりやすく教える術、優しい気持ちを自然と身につけるのです。

 ここで。最初に書いたアニの「特性」にも関わってくるのですが、本来彼のもって生まれた特性で言うと、人の立場に立って説明するとか、小さい子の面倒を見ると言うのは、全然得意分野ではないのです。「昨日の自分よりも上手に」とか「誰かより強く」という概念もあまり持ち合わせていません。だから何度も同じところを忘れたり間違えたりもしてしまいます。ふざけたり怠けたりしていなくても、そういうところがあります。

 それでも空手を続けたいと思えているのは、道場の中に彼なりの自分の居場所を見出せているからだと思います。何回失敗しても見捨てない、オールインクルーシブな空気感が彼には心地よくて、何よりその場所が好きだから、本来自分にはない特性でも、見よう見まねでやっているのだと思います。

 

 最後に。

「空手って子供の習い事におすすめ?」かどうか。

 よく他のパパママに「空手っていい?」って聞かれます。そんな時は月並みですが「試してみて、本人が好きだったらおすすめだよ」と言うようにしています。フルコンタクト空手をやる以上、痛いのもきついのも本人なので、当然ながら好きじゃなければ続けられないと思います。決めるのはいつでも、子供自身の心です。

 うちも兄弟がいつまで続けるのかはわからないけれど、この武道を好きなうちは精一杯サポートしたいと思います。ちなみに末っ子一人娘のミッチは、お腹の中にいる時から空手の声や音を聞き、生まれてからも練習場の端っこで授乳したりハイハイしたりして育ちましたが、「みっちゃんは空手じゃなくてピアノやりたいの!」といってピアノを習い始めました。本人がそれでハッピーならもちろんいいのですが、お兄ちゃんたちの真似をして蹴りをしている様子とかを見ながら、「この人が兄弟の中で絶対一番強いよね。」と密かに思っています。

 現場からは以上です。押忍!

 

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