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小さなレディと大きなレディの悩ましい日々

ミッチ(2歳4ヶ月)がうちにやって来るまで、こんなにも女子が女子として勝手に育っていくとは知らなかった。フリルとかピンクとかキラキラとかのもつ強い磁力に、ぐいぐい吸い寄せられている。兄さんたちの《男子のもの》にあふれた環境に身を置く反動で、「ないもの」に対する憧れが余計に高まっているのかな。

例えば朝一番の着替えの時、服の組み合わせはもちろん彼女自身が選ぶ。日中ご飯を食べたり遊んでいて、ちょっとでも服が濡れたり汚れたら着替えたい。紙おむつは赤ちゃんじゃないからもう履かない。でもまだまだ不安定な下半身だから、失敗しちゃうとまた上から下まで総着替え。とにかく着替えてばっかり。梅雨なのに。

私のネイルにつきそった時は、ネイリストのサトミちゃんにネイルシールを貼ってもらって、本当に嬉しそうに眺めていた。

そんな彼女の傍にいる私はといえば、イヤイヤ期の人と付き合うのもこれで3回目だし、人生最後の未就園児子育てだし、「慣れたもんだわ!」と心を広くもちたいところなんだけれど、これがまたなかなかそうはいかなくて。

あんまりに毎日イライラするから「もしかして更年期の年頃に入ったか?」と思うに至って婦人科を受診した。

診断は《この程度じゃまだ更年期じゃないよ》だった。眠れているし食べれている。体も熱くないし、笑えている。それでも毎日イライラするのはしんどいだろうからと、心穏やかにいられるように効き目の優しい漢方を処方してくれた。

かあさんになってから8年。我が家からオムツやスタイやバンボや、そういった乳児周りのものがひとつづつ静かに消えていく。小説を2日で読み切る時間の余裕ができてきて、夜中に起こされることも少なくなってきた。

友達に赤ちゃんが生まれたと聞けば、「抱っこさせて」と自然に言っている。誰かが妊娠したと聞けば、いまでも心が少し波立つ。羨ましいとも違う。ただ、もう私には起こらないことだなと静かに確認する。

こうして、我が家に赤ちゃんがいる時期はいつの間にか過ぎて、子供達は刻一刻、大人へと進化している。イライラなんてしていたらもったいない。そうわかっているのに、どうしても上手くいかない私の未熟さよ。この環境にあぐらをかかずに、ほんとうは感謝と笑顔で過ごしたい。私の見せる《大人の女性像》は、そのまま小さなレディであるミッチのロールモデルにもなりうるのだから。

家事が一息ついたときの1杯(くらい)のワインを楽しみに、今日も家事の波間をがしがし進む。

 

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