これはproud NUMAZU kosodateに寄稿した記事です。(2018.9.19投稿)
【壁にやさしさが溢れている】
先日1歳7ヶ月の娘と沼津駅南口の沼津っ子ふれあいセンター(ぽっぽ)に行った。
おままごとやボールプール、滑り台などでひとしきり楽しく遊んだあと、畳コーナーの端にある授乳エリアに入ったとき、ふと壁を見ると有名な【今日(英語原題TODAY)】という詩が貼られていた。
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『今日』 (伊藤比呂美訳)
今日、わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだとおもう
人に見られたら
なんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしてたの?とか
わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた
ほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは
澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために
すごく大切なことをしていたんだって
そしてもし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ
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そして詩の最後には、ぽっぽの先生からのメッセージが添えられていた。
《子育てをがんばっているお母さんに贈ります》

授乳室でふと目に入ったこの詩を読んで、気持ちが軽くなったママは少なくないと思う。終わることのない家事に押し潰されそうになっているのは、自分だけではないんだという気づきは、疲れた心を軽くしてくれる。
どこか晴れやかな気持ちで授乳エリアを出て、他の壁を見てみると、他にもたくさんの《やさしさ》が見て取れた。季節感のあるガーランドや、誤飲の注意を呼びかけるもの、トイレトレーニング中の子どもを励ますシールについて、子育て支援サークルや園庭開放の情報など、未就園の子どもや両親に寄り添うものが溢れていた。



トイレに向かう壁には、ニコニコ笑うキャラクターが踊り、トイレのドアではアンパンマンが見守っている。このアンパンマン、実は子どもの小さい指がドアに挟まらないようにクッションの役目も担っている。


今度支援センターに行ったら、子どもと遊ぶ合間に《壁》を見渡してみてほしい。そこにはきっと、子育てを楽しくするヒントや新米パパママへのやさしさがあふれているから。